フットケアとは フットケア

②下肢病変の早期発見と血流検査

糖尿病や動脈硬化などを患っていたり、透析を受けている患者さんは、下肢病変(足の潰瘍、壊死など)を合併するリスクが高いとされます。下肢病変の原因は足の血流が悪くなる事にあり、万が一、下肢病変を合併し重症化してしまうと下肢切断に至り、最悪の場合には命の危険に晒される場合もあります。これらを早期発見するために様々な検査が行われていますが、その一つに足の血流(末梢血流)を測定することのできる「レーザ血流計」があります。
レーザ血流計は、痛みを伴わず短時間で簡便に足の細い毛細血管を流れる血流量を測定することができます。この血流量を定期的に測定し、継続的に変化を観察する事により足の血流障害の有無を判断することができます。また、潰瘍などの傷の治癒には血流が重要であり、血流が乏しいと治癒ができません。これら創傷治癒の過程においても血流測定は重要な役割を果たすことができます。
 私どものクリニックでも、透析患者さんの下肢病変の早期発見やフットケアの効果判定などを目的に複数台のレーザ血流計を活用しています。フットケア等を行う透析施設においては、ケアに従事する看護師などのマンパワー不足や業務の煩雑化などが問題視されます。そこで、レーザ血流計は「手軽」・「簡便」・「短時間」に検査することができるため、透析開始の準備中の数分間に血流測定を行う事を透析業務の一環としています。
この事により、定期的に血流検査を行い、透析患者さんの下肢病変を早期発見し、早期治療に結びつける事で重症化を防ぎ、手術などの治療とそれに伴う入院期間を最小限にすることができます。また、今まで確認ができなかった“血流量”という数字を患者さんに実感して頂き、検査結果をスタッフと共有する事で、下肢病変への関心やご自宅で行う足のセルフケアの向上にも効果をもたらすことができました。この事は、患者さん自身が足病変の予防や早期発見に努める事で、結果的に大きく貢献していくものと考えます。

誰もが “いつまでも自分の足で歩く” ことが願いであり、私どもも “いつまでも自分の足で歩いていただく” ことが願いです。
日常業務の数分間を血流測定に費やす事で、この願いが叶えられるようになるのであればこんなに喜ばしい事はありません。

足の症状に不安を感じられているのであれば、一度、血流測定を行ってみましょう。

監修:内科・循環器内科 人工透析・在宅診療 さかいクリニック 副院長 岩尾昌之
※所属・役職は2023年1月時点のものです。