フットケアとは フットケア

③特に重要な透析患者へのフットケア

『特に重要な透析患者へのフットケア』
それは、血流を測定し、無症候性LEAD※1を見つけて、セルフケア指導を行う事です。
透析患者へのフットケアは、先ず血流測定から始める必要があります。目の前で透析を受けている患者の足の、どのあたりまで血流が良好であるのかを把握してから、次の行動(ケア)を始めます。
私達看護師が行う血流検査は、ケアに繋げるための検査です。なぜなら、透析患者は高齢化しており、間欠性跛行を自覚するほど歩行しません。ゆえに、血流が低下していても症状を自覚できない、または、症状を自覚していない「無症候性LEAD」患者が増加しています。
無症候性ですが、下肢の血流量は低下していますので、何らかの原因で傷ができると、治癒が遅延します。さらに、顕著に血流が低下している部位に傷ができると、難治性潰瘍となり、たちまちその足はCLTI※2となります。CLTIの傷は難治性であり、長期的なケアが必要です。
糖尿病が原疾患である血液透析患者も多く、3回/週は透析の為に来院されるため、スクリーニングとして血流評価を行うことが、無症候性LEADの発見に繋がります。多くの透析施設には、VA※3の管理目的で超音波診断装置が設置されています。簡易的な血流計(レーザ血流計「ポケットLDF」)を用いての下肢血流モニタリングに加え、超音波診断装置を使用して、狭窄や閉塞病変部位の予測をすることも可能です。
当院では両第1趾に足指クリップを使用し、レーザ血流計「ポケットLDF」で血流量を測定します。測定値が低値である場合、超音波診断装置を使用して、足背動脈と後脛骨動脈で波形を描出します。正常波形を描出した場合は、足背動脈や後脛骨動脈より末梢側の血流低下が予測されます。患者に症状を確認し、症状がない場合でも足趾周辺での血流が低下していることを説明します。足背動脈、後脛骨動脈で狭窄後波形を描出した場合膝窩動脈で波形を描出し、正常波形であれば、下腿3枝に狭窄や閉塞を予測します。この場合でも症状を確認し、症状がない場合、患者には下腿動脈の血流が低下していることを説明します。膝窩動脈で閉塞後波形を描出した場合で症状がない場合、ABI検査※4を追加し、0.9以下であれば、総合病院での精査を勧めます。
患者自身にも自分の足のどこまでの血流が良好で、どこからの血流が低下しているかを把握してもらい、日々傷をつくらないように気を付けるようなセルフケア指導、傷や皮膚の変化や何らかの症状を自覚した場合は、3回/週通院している透析施設のメディカルスタッフに伝えるように、指導する必要があるのです。
患者からの訴えを、軽視せず、受け止めアセスメントし、次は何をすべきかを考え、すぐに行動を起こせるよう、透析メディカルスタッフも自己研鑽する必要があります。
特に重要な透析患者へのフットケアは、血流を測定する事、測定値から血流がどこまで良好でどこからが低下しているかをアセスメントし、狭窄・閉塞部位の予測をし、患者自身に理解をしてもらえるように指導できるだけの知識と技術を身に付けることです。
私は、いつまでも歩ける患者の足を守るために、より多くの透析メディカルスタッフの皆様と一緒に下肢血流評価を行っていきたいと願っております。

【参考】
※1 LEAD:下肢末梢動脈疾患
※2 CLTI:包括的高度慢性下肢虚血
※3 VA:バスキュラーアクセス
※4 ABI検査:動脈の狭窄や閉塞を評価する指標(ankle brachial index:足関節上腕血圧比 の略)

監修:津みなみクリニック 総看護師長 坂田久美子
※所属・役職は2025年6月時点のものです。