第三病院から西部医療センターへ、
地域とともに進化する病院としてリニューアル

東京慈恵会医科大学西部医療センター
東京都狛江市・調布市に隣接する立地で、長年にわたり地域医療を担ってきた東京慈恵会医科大学西部医療センター。
かつて「附属第三病院」として親しまれた同院は、建物の老朽化と現代医療のニーズへの対応を機に全面リニューアルを実施し、2026年1月に「西部医療センター」として生まれ変わりました。

55年の歴史を刷新、
地域に開かれた新病院の誕生

 東京慈恵会医科大学の附属病院として約75年にわたり地域に寄り添ってきた同院。旧本館の竣工は1970年で、実に55年が経過していた。個室の絶対数の少なさ、1病棟に1か所しかないトイレ、そしてエレベーター台数の少なさ──。老朽化が積み重なった建物は、現代の急性期医療を担うには限界を迎えていた。こうした背景のもと、「附属第三病院」は全面改修・機能刷新を経て、2026年1月に名称も改め、「西部医療センター」として新たな歩みを始めた。新名称は、慈恵医大の本院が位置する港区から見て「東京の西部」に位置することに由来し、地域に開かれた病院としての意思表示も込められている。
 新病院で大きく変わったのは施設の構造だけではない。従来の「診療科縦割り」から「センター制・ユニット制」への転換が図られ、消化器・肝臓内科、消化器外科、内視鏡部を束ねた「消化器センター」、脳神経内科・脳神経外科を隣接配置した神経系ユニットなど、関連診療科がひとつのセクションに集約された。患者が複数の診療科を渡り歩く必要が大幅に減り、利便性は飛躍的に向上している。外来はほぼ全診療科が2階のワンフロアに集約され、フロアをまたいだ上下移動がほとんど不要になった。
 施設内に足を踏み入れると、まず視線を引くのがエントランス右手に設けられた「ガジュまるホール」だ。地域住民が気軽に立ち寄れるオープンな空間として設計されたこのホールは、生活習慣病の予防や未病対策をテーマにした講演会、狛江市・調布市との共同イベントなど、地域啓発活動の拠点として活用されている。病院の奥に位置するのではなく、「入口のすぐ横」という象徴的な場所に配置されたことに、地域との共存共栄を重視する病院の姿勢が表れている。
 廊下の幅は従来と比較して大幅に拡張され、車椅子同士がすれ違うことさえ困難だった旧施設の課題が解消された。待合スペースも同様に広く確保されており、患者からは「ストレスなく待てるようになった」との声が寄せられている。エレベーターは旧本館の3~4台から大幅に増設された。

地域に開かれた「ガジュまるホール」
 

地域医療の「核」として高度な医療を提供

 西部医療センターは東京都から「地域医療支援病院」の指定を受けており、近隣の開業医や中小病院から患者を受け入れ、状態が落ち着いたら地域の医療機関へ戻す「紹介・逆紹介」の機能を担う。その連携を円滑にするため、病院入口すぐ左手には「患者支援・医療連携センター」が広いスペースを確保して設置されており、退院時カンファレンスへの地域医師の参加など、顔の見える連携が進んでいる。
 救急体制も大きく強化された。これまでの体制に加えて、経験豊富なベテラン救急専門医2名を新たに迎え入れ、合計3名体制へと診療体制を大幅に拡充している。1階には救急室・初診外来・小児科をまとめた「プライマリーケアユニット」を集約し、高齢者救急を中心とした二次救急のニーズに的確に応えられる体制を整えた。
 がん治療においても、手術・化学療法・放射線療法の三本柱を軸に、積極的な体制強化が図られた。
 また、ロボット支援手術「ダビンチ」の導入に際しては、専門医を配置した。骨髄移植が可能な血液専門施設の整備や最新の放射線治療装置の導入なども進んでいる。
 そして、特筆すべきは地域初の取り組みとなった「緩和ケア病棟」の新設だ。約20年前から院内に緩和ケアチームが存在していたものの、専用病棟の設置は今回が初めて。東京都内でも大学病院が緩和ケア病棟を持つ例は少なく、開棟直後から高い期待が寄せられているという。在宅医療機関やケアホスピスとの連携を視野に入れながら、患者が「その人らしく過ごせる場」を地域の中に根付かせようとする取り組みは、地域医療支援病院としての理念を体現するものだといえるだろう。

術者をサポートする「ダビンチ」
 
心穏やかに過ごせる緩和ケア病棟の個室
 
東京慈恵会医科大学西部医療センター
院長 平本 淳

MESSAGE

20年後も必要とされる病院であり続けるために

 新しい病院を作るにあたって、私がずっと大切にしてきたのは「地域の中で完結する医療」という考え方です。救急から手術、がん治療、そして緩和ケアまで、患者さんが住み慣れた地域を離れずに、一貫したケアを受けられる体制を整えることが、今回のリニューアルに込めた思いです。
 緩和ケア病棟は、20年以上前から先輩たちが必要性を訴え続けてきた悲願でもあります。当院が地域で初めての取り組みとして実現できたことを、誇りに思っています。地域医療支援・がん診療・人材育成という三つの柱を軸に、これからも地域の皆さんの期待に応え続けていきたいと思っています。近隣の医師や行政との連携をさらに深め、20年後も必要とされる病院であり続けることが、私たちの目標です。

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